Tob Control 2001;10:117-123 ( Summer )
School smoking policies and smoking prevalence among adolescents:multilevel
analysis of cross-sectional data from Wales
目 的: 学校の喫煙に関する規則と、生徒の喫煙率の関係を調査する。
デザイン: 学校および生徒の調査により得られた横断的データの多変量解析。
設 定: ウェールズの55のセカンダリースクール(中学〜高校に相当?)。
対 象: 教師55名と11年生(15歳〜16歳)1375名。
主なアウトカム測定: 自己申告された喫煙習慣。
結 果:
学校の敷地内における全ての生徒と教師の喫煙を禁じる、生徒・教師および他の成人を対象とした、成文化された規則を有する学校における日常的喫煙の頻度は、9.5%(95%信頼区間6.1〜12.9%)であった。生徒や教師の喫煙に関する規則のない学校では、30.1%(95%CI
23.6%〜36.6%)の生徒が日常的に喫煙していると解答した。中間のレベルの喫煙に関する規則を有する学校では、20.1%(17.8%〜24.2%)が毎日喫煙していた。
学校の喫煙に関する規則は、学校毎の日常的喫煙頻度のばらつきに関連が認められた(p
= 0.002)。
多変量解析では、生徒の性別、親および親友の喫煙状況、親の期待、および登校状況(alienation
from school)で補正後には、説明できない学校毎のばらつきは減少したが、学校の喫煙に関する規則はなお有意であった(p
= 0.041)。
喫煙に関する規則と週単位の喫煙の関連は、日常的喫煙との関連に比較して弱く、生徒側の要因で補正後は有意ではなかった。日常的および週単位の喫煙の頻度の何れもが、生徒の喫煙禁止が常に強制力を持って運用されている学校の方が低かった。教師の禁煙の強制的な運用は、生徒の喫煙に有意に関連してはいなかった。
結 論:
この研究は、規則の強さおよび規則の強制的な運用と、生徒の喫煙率の間には、生徒側の要因で補正後にも関連があることを示している。これらの知見からは、包括的な学校の喫煙に関する規則の導入を多くの学校に拡げることが、未成年の喫煙率を減少させる助けになることを示唆している。
(訳:金沢大学医学部附属病院 総合診療部 野村英樹医師)