健康増進法 (2002年7月26日可決成立・8月2日公布・2003年5月1日施行) 第7条規定の通り、厚生労働大臣による「基本方針」が定められます。
第五章第二節 受動喫煙の防止
第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
※2002年5月17日の厚生労働委員会議事録によると、民主党水島広子衆院議員の質問に対して、下田智久健康局長は、
「(「学校」は学校施設だけでなく、修学旅行や移動教室なども)教育の一環として当然その活動をするのだから、教育上の観点から種々のご配慮がなされるべきと考える。」

と答弁しており、学校においては広範囲において受動喫煙対策をしなければなりません。当然、運動会も教育の一環ならば法の適用対象になります。
一方、5月1日以降に、学校敷地内や学外での教育活動において受動喫煙による健康被害が発生した場合、管理者(学校長など)を相手に告訴することが可能となります。
健康増進法第25条をクリアするためには、現実的には、敷地内禁煙とするしかないでしょう。
※ たんに喫煙場所を指定しただけでは「違法」です。




平成15年4月30日 厚生労働省健康局長通知(健発第0430003)
各都道府県知事・政令市長・特別区長宛
受動喫煙防止対策について
 健康増進法(平成14年法律第103号)等の趣旨等については、「健康増進法等の施行について」(平成15年4月30日健発第0430001号、食発第0430001号)により既に通知しているところであるが、同法第25条に規定された受動喫煙防止に係る措置の具体的な内容及び留意点は、下記のとおりであるので、御了知の上、関係方面への周知及び円滑な運用に御配慮をお願いしたい。
1.  健康増進法第25条の制定の趣旨
 健康増進法第25条において、「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」こととされた。また、本条において受動喫煙とは「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義された。
 受動喫煙による健康への悪影響については、流涙、鼻閉、頭痛等の諸症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等生理学的反応等に関する知見が示されるとともに、慢性影響として、肺がんや循環器疾患等のリスクの上昇を示す疫学的研究があり、IARC(国際がん研究機関)は、証拠の強さによる発がん性分類において、たばこを、グループ1(グループ1〜4のうち、グループ1は最も強い分類。)と分類している。さらに、受動喫煙により非喫煙妊婦であっても低出生体重児の出産の発生率が上昇するという研究報告がある。
 本条は、受動喫煙による健康への悪影響を排除するために、多数の者が利用する施設を管理する者に対し、受動喫煙を防止する措置をとる努力義務を課すこととし、これにより、国民の健康増進の観点からの受動喫煙防止の取組を積極的に推進することとしたものである。
2.  健康増進法第25条の対象となる施設
 健康増進法第25条においてその対象となる施設として、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店が明示されているが、同条における「その他の施設」は、鉄軌道駅、バスターミナル、航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル、旅館等の宿泊施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設等多数の者が利用する施設を含むものであり、同条の趣旨に鑑み、鉄軌道車両、バス及びタクシー車両、航空機、旅客船などについても「その他の施設」に含むものである。 (以下略。全文はリンク先の原文を参照下さい。)

「学校環境衛生の基準」の改訂 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/02/020202.htm
2002年2月、文部科学省は、学校環境を衛生的に維持するためのガイドラインである「学校環境衛生の基準」(平成4年6月体育局長裁定)を改訂し、各都道府県教育委員会等に通知しました。
これによると、空気清浄度の判定基準は、一酸化炭素は10ppm(0.001%)以下、浮遊粉じんは0.10mg/m3以下とされ、一酸化炭素と浮遊粉塵の最大の発生源である喫煙が、衛生的な学校環境を達成するための最大の阻害因子となっています。喫煙した部屋では、浮遊粉塵が1.0mg/m3を越えることがあり、また、喫煙者の呼気からは常に10〜60ppmの高濃度の一酸化炭素が排出されています。学校を禁煙にすれば浮遊粉塵と一酸化炭素に関する「学校環境衛生の基準」は簡単に達成できることになるでしょう。

「喫煙防止教育等の推進について」と題する旧文部省通知 平成7年5月25日 文部省体育局学校健康教育課長 銭谷眞美
 学校における喫煙防止教育等の推進については、かねてからご配慮をいただいているところでありますが、今般、別紙1の通り公衆衛生審議会から厚生大臣あてに今後のたばこ対策について意見具申が行われ、別紙2のとおりこの意見具申において示された考え方を尊重したたばこ対策の実施について、厚生省から文部省に対し要請がありました。この意見具申の別添「たばこ行動計画検討会報告書」(以下、「報告書」という。)においては、未成年者の喫煙を防止するための教育を学校、地域、家庭において積極的に推進すべきこと、学校等の公共の場においては、利用者に対する教育上の格段の配慮が必要とされることから、禁煙原則に立脚した対策を確立すべきことなどが指摘されております。
 文部省においては、報告書の趣旨も踏まえ、引き続き、学校における喫煙防止に関する指導の充実等の一層の推進に努めることとしております。
 つきましては、貴職におかれても、報告書の趣旨を踏まえ、喫煙防止教育等の一層の推進についてご配慮いただくとともに、貴管下のT帝町村教育委員会、学校等の関係機関に対し、この趣旨を周知徹底下さるようお願い申し上げます。


健康日本21 の中の 各論-たばこ-対策
「たばこのない社会」という社会通念を確立するために、不特定多数の集合する公共空間(公共の場所及び歩行中を含む)や職場では原則禁煙を目指す。

教育関係者は、国民に対する範として、自ら禁煙に努める。


報道

全面禁煙、学校内は45% 文科省調査 (2005/8/26 産経新聞記事)

 全国の小中高校などの45%が建物と敷地内を全面禁煙にしていることが26日、文部科学省の調査で分かった。建物内だけ禁煙も24%で実施、分煙を含めると95%が受動喫煙への対策を取っていた。
 文科省は「かなり高い割合で対策がなされているが、さらに進めてほしい」としている。
 調査は4月時点で、全国5万3039の国公私立の小中高校、幼稚園などを対象に実施した。
 禁煙以外では、建物内で分煙をしているのは26%、何も対策をしていないのは5%だった。
 「建物と敷地内の全面禁煙」は幼稚園が52%、小学校44%、中学39%、高校44%。
 「建物内だけ禁煙」は小28%、中24%、高12%。分煙は小26%、中37%、高44%だった。
 公立の全面禁煙実施の割合は静岡県がほぼ100%で、和歌山県99%、秋田県96%の順。
 また、禁煙や分煙などの対策を取っていないのは国立がゼロ。公立が2%だったのに対し私立は16%で、うち幼稚園が19%と高い割合だった。文科省は「幼稚園は園内で喫煙する人が少なく、対策を取る必要のない所が多いため数字が大きくなった。私立の数字が大きいのも幼稚園の割合が高いため」としている。(共同)


学校の受動喫煙防止策、95%が実施済み・文科省初調査 (2005/8/26 日経新聞記事

 全国の幼稚園や小中高校の95.3%が教員の喫煙による児童生徒らの受動喫煙の防止策を講じていることが26日、文部科学省がまとめた初の調査結果で分かった。半数近くは敷地内を全面禁煙にしている。同省は「対策の実施率は思ったより良好で、受動喫煙の防止に積極的な姿勢がうかがえる」(学校健康教育課)と話している。
 調査は国公私立の幼稚園・小中高校全約5万3000校と教育委員会を対象に実施。調査結果によると、敷地内の全面禁煙は全体の45.4%、建物内の全面禁煙は23.6%が実施。建物内に喫煙場所を設けて分煙の措置を講じているのは26.3%で、対策実施校が95.3%を占めた。
 対策を講じていないのは4.7%、2485校。文科省は「8割強が幼稚園で、喫煙する教員がいない学校が多いのではないか」(同)としているが、今後、都道府県などに対策の徹底を促す方針。 (22:36)

全国の小中高400校、禁煙・分煙対策全く行わず (2005/8/27 読売新聞記事
 教職員らが吸うたばこにより生徒・児童らが受動喫煙するのを防ぐための禁煙や分煙の対策を、全国の小中高校の1%にあたる400校が全く行っていないことが26日、文部科学省の初の調査で分かった。
 一方、すでに43%が学校敷地内を全面禁煙にしており、文科省では「少なくとも分煙措置は講じるべきだ」と指摘している。
 調査は国公私立の小中高校や幼稚園など計5万3039校・園を対象に今年4月1日現在の状況を聞いた。それによると、受動喫煙の防止策をとっていない小学校は全体の1・2%にあたる276校。中学は88校(0・8%)、高校は36校(0・7%)に上った。
 これに対し、小中高校(計3万8563校)の43%にあたる計1万6491校は、すでに学校敷地内を全面禁煙にしていた。建物内に限って禁煙にしている小中高校は計9552校(25%)、建物内に喫煙場所を設置し分煙措置をとっているところは計1万2120校(31%)だった。
 幼稚園については2083園(15・4%)が「対策を取っていない」と回答したが、文科省は「若い女性の先生が多いなど、喫煙する人が全くいないケースが大半とみられる」と分析している。
 2003年5月に施行された健康増進法では、学校など公共の場所の管理者に受動喫煙の防止措置をとるよう努力義務を定めている。


<全面禁煙>学校全体の45.4%たらず 文科省が初調査  (2005/8/26 毎日新聞記事)

 他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」をめぐり、学校敷地内は全面禁煙としている学校は2万4082校で、全体の45.4%に上っていることが、文部科学省の調べで分かった。学校の受動喫煙対策についての調査は初めて。対策を取っていないと回答したのは、2485校(4.7%)だった。文科省は「積極的に、対策に取り組んでいる様子がうかがえる」と評価している。
 都道府県、市町村などの教育委員会と国公私立の幼稚園、小中学校、高校などについて今年4月1日時点での実態を調べた。
 盲・ろう・養護学校や中等教育学校も含めた学校全体(5万3039校)のうち、対策を講じているのは5万554校で95.3%。このうち、敷地内で全面禁煙なのは45.4%、校舎など建物内に限り禁煙が1万2511校(23.6%)、建物内に喫煙場所を設けて分煙措置を講じているのが1万3961校(26.3%)だった。
 学校種別にみると、84.6%にとどまった幼稚園を除けば、小学校98.8%、中学校99.2%などどの学校種でも98%以上が対策を済ませていた。幼稚園の場合、喫煙する教職員がそもそも少ないため、「対策なし」と回答した可能性が高いとみられるという。
 敷地内での全面禁煙は、幼稚園の52.4%▽小学校44.4%▽高校43.6%▽中学校39.1%――だった。設置者別では国立(260校)の100%、公立(4万2421校)の98%が対策済みで、幼稚園が大半を占める私立(1万358校)は84.3%だった。【千代崎聖史】


児童・生徒の受動喫煙、小中高校の1%は防止策とらず (2005/8/26 朝日新聞記事)

 全国の小中高校全体の1%にあたる計400校で、受動喫煙防止対策が全く講じられていないことがわかった。一方、ほぼ半分は学校敷地内そのものを全面禁煙にしていた。文部科学省が26日、公表した。
 この調査は、受動喫煙防止をうたった「たばこ規制枠組み条約」が今年2月に発効したことを受けて初めて実施した。国公私立すべての幼稚園から高校まで5万3039校を対象に今年4月1日現在で調べた。
 文科省によると、全く対策をとっていないのは、小学校が276校(全体の1.2%)、中学校が88校(同0.8%)、高校36校(同0.7%)だった。
 全体の約45%の学校は、建物内だけでなく敷地内を全面禁煙としており、文科省は「予想以上に取り組みが進んでいる」と話している。
 都道府県別で、公立学校について受動喫煙対策のない学校が残っているのは34都道府県。これに対して、茨城、静岡、和歌山、徳島の各県教委は、学校敷地内を全面禁煙にするよう県内に通知している。