● 最大の半減根拠−本研究/HP担当者の意見です
健康日本21の検討会では、疫学の当然の帰結として喫煙ゼロ目標も発言された。非加熱製剤や狂牛病感染牛食用率にゼロ以外の目標があるだろうか。喫煙によって毎年国民10万人が犠牲になっているとは、厚生省自身が発表した数値であり、ならば、非加熱製剤や狂牛病以下の対策になることはどう考えても理不尽である。
当初、喫煙率半減・消費量半減は、目標年度を2010年とする当面の可能性と、各分科会で検討された循環器病や脳卒中、肺癌の減少推計に基づいて出されたが、当時の最大の説得力ある根拠は、原案を提出した厚生省が、半減を目標として掲げることで心意気を見せたいとしたことであった。たばこ分科会委員もこれに同意したはずである。
そうして、根拠の議論を超えて、半減目標を掲げることが、長年放置してきた喫煙問題に国を挙げて取り組むターニングポイントとなるはずであった。半減を掲げることは、喫煙対策を大きく進めるための戦略であったのである。
当初、原案を挙げた厚生省やたばこ分科会委員、そしてJTやタバコ組合はこのことをよくわかっていた。だからこそ、JTやタバコ組合はあらゆる手段で阻止し、結局彼らはマスコミを巻き込んだ世論注目の中で見事に半減撤回をさせて見せ、逆に、喫煙対策は困難なものだと言う意識を世論に見せつけるように利用してしまったのである。
その後、やはり、半減撤回の文言を、全国自治体にたばこ商業協同組合の名でばら撒いて喫煙対策妨害に最大限利用し、それに応じて数値目標はおろかたばこの項目さえない自治体も出現している始末である。
しかし、喫煙によって毎年国民10万人が犠牲になっている事実は今も変わらないし、喫煙者のほとんどが依存から抜け出たいと苦しんでいる事実にも変わりはないのである。タバコが原因だということを知らないまま、多くの赤ちゃんが今も乳幼児突然死で亡くなっている。タバコを徹底的にに擁護する日本社会に深い恨みを抱きながら。
半減を掲げるのは、喫煙による死や不幸から国民を救うための戦略に他ならない。
半減やゼロを掲げても、本当の目標に確実に至ることが重要である。
喫煙対策1日の遅れが、何人の命を失わせているのだろうか。
実効性のある喫煙対策をしないことが、薬害エイズ事件以上の重大な罪となることは、すでに、間違いない。
このことを全国の自治体と公衆衛生担当者は肝に銘じ、全力で喫煙対策に取り組まねばならない。