「たばこ事業法施行規則の一部を改正する省令(案)」に対する意見
2003/10/24 by nosmoke_world
※同じ意見でも結構ですのでどしどし意見をお送り下さい。締め切りは11月5日です。
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文言の内容について
・喫煙が肺がんに占める寄与危険度は平山報告の7割から最近の報告においては9割まで高まっており、このことからすると「肺がんの原因のひとつ」の「・・・のひとつ」という表現は喫煙の害を過小に感じさせる不適当な表現であり、「のひとつ」を削除するか、「肺がんの最大の原因」などのより適正な表現に改めるべきである。

・喫煙が健康に悪いことは広く知られているが、喫煙を続けている人の中でその害を現実感を持って感じている人は大変少ない。そういった人には単にタバコ関連疾患についての文言だけではなく、タバコの包装に写真を印刷し、「喫煙者の半数は70歳までに死亡する」「1日20本吸うと6人に1人、40本で3人に1人が肺がんで死亡する。」などのより具体性のある文言を記載するべきである。

・現実には禁煙したいがやめられない喫煙者が大多数を占めており、具体的な禁煙方法について記載した方が、喫煙者のニーズや喫煙率やタバコ消費量を減らすと言う健康日本21の目標にも応えることになる。たとえば「今はニコチン製剤を使えば楽に止められます。」と記載し、禁煙支援のHPアドレスや電話番号などを併記する。

・依存性について「人により程度は異なりますが」という文言は警告としては不要である。

・淡路医師会が本年春に淡路島内の児童生徒1万9千人を対象に実施して公表したデータによると、吸わないでという表現は、多くの未成年者にとっては意味がないか、むしろ吸いたくなると感じさせる表現であることが明らかになっている。そう感じさせない表現は、肺がんなどの表記の他、男性なら性的不能、女性なら美容上の問題で、これらを警告するのが未成年や若年層の喫煙抑止により有効であると考えられる。ゆめゆめ、「むしろ吸いたくなる」と思わせるべきではない。

・文言の有効性について全国調査で明らかにしていくべきで、現在、未成年喫煙防止の名目で汎用されている「20歳になってから」「未成年者の喫煙は禁じられています」は意味がないかむしろ未成年の喫煙を誘発しているおそれが強いことが上記調査でわかったので、今後、禁止すべきである。警察や教育機関、自治体、JT、タバコ販売組合などが現状で未成年喫煙を誘発するようなアピールを繰り返しているのは問題である。これらのアピールを繰り返せば繰り返すほど、未成年喫煙は今後も増えていくだろう。
参考
淡路医師会・淡路島全校一斉喫煙状況調査 2003年3月
http://www1.sumoto.gr.jp/shinryou/kituen/school/
共同通信報道記事 「逆効果の恐れある文言も 未成年の喫煙対策で調査」 2003年7月29日
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0729tabako.html

・「妊娠中の喫煙は、胎児の発育障害や早産の原因の一つとなります。疫学的な推計によると、たばこを吸う妊婦は、吸わない妊婦に比べ、低出生体重の危険性が約2倍、早産の危険性が約3倍高くなります。」
についてですが、妊娠して禁煙した妊婦と喫煙を続行した妊婦を比較した場合、この文言で触れられている「低出生体重」「早産」についてはいずれも9割の妊婦がすでに知っており、妊婦に禁煙を促す警告文言にはなりません。これは洲本市の調査ですでに明らかになっており、下記HPにデータを公開しております。
http://www1.sumoto.gr.jp/shinryou/kituen/kinen_supportcenter/pregnancy.htm
一方、「乳幼児突然死(SIDS)」「先天異常(奇形)」「知能低下」については、禁煙した妊婦は知っているが、喫煙を続けた妊婦は知らないことが多く、これらの注意文言を掲載する方が、妊婦喫煙の低下に寄与すると考えられます。上記調査でも有知識率の有意差をもって証明されております。
よって、現行案の「低出生体重」「早産」は妊婦喫煙低下には効果がないことが強く予想されるので、かわりに、「乳幼児突然死(SIDS)」「先天異常(奇形)」「知能低下」についての警告文に差し替えることを提案します。
特に、妊婦喫煙の増加に伴ってSIDSが今後急増することも予想されており、特に強く警告すべきです。

・かみたばこについて
36条改正案にて「かみたばこ」が追加されていますが、「かみたばこ」は口腔内癌の大きな原因になっており、また依存性もあります。日本ではまだ流行しておりませんが、この際、タバコ事業法に追加せず、有害商品として国内に入らないように厳重に取り締まるべきです。今回、「かみたばこ」をタバコ事業法に追加して紙巻タバコなどと同様になんらの規制もかけられなければ、これの使用によっておこる口腔内癌や依存症は、適正な判断をしなかった当局の責任に帰結すると考えます。繰り返しますが、タバコ事業法に「かみたばこ」を追加するのはおやめ下さい。


表示面積について
・先進国随一の喫煙率の高さ、未成年者や若年者、妊婦の喫煙率の急増、肺がんの急増などを考え合わせると、タバコ包装の30%以上と言うのは少なすぎる。すでに写真入の警告表示を実施しているカナダ以上の警告にしなければ、遅れた喫煙対策を取り戻すことはできない。写真入の警告を包装表面積の90%以上として下さい。


表示場所について
・タバコ店、コンビニ、スーパー、タバコ自販機などのタバコを販売する場所においては、店頭の目立つ場所に全種類の警告表示を常時掲示する
・タバコ自販機に置いても、自販機表面積の70%以上に写真つきの警告文を全種類表示する。未成年者のほとんどが自販機で購入している実態が明らかになっていることから、これにより、未成年者をターゲットにした警告が可能である。
・街頭、交通機関、ビル、雑誌、新聞などの広告においても、表面積の70%以上において写真つきの警告を表示する。
・JTがスポンサーとなっているテレビやラジオの番組において、JT製品(飲料、医薬品、マナー広告などすべての製品を含む)のコマーシャル時間と同じ時間、喫煙の危険性に関する警告を放映、放送する。これにかかる費用はJTの負担とする。
・小学生の喫煙者は家のタバコや友人などからもらったタバコを吸う確率がもっとも多いことがわかっているので、タバコの箱の警告は見ないことが多い。このことも鑑みて、タバコ1本1本の包装すべてに警告文言を印字するべきである。


紙巻たばこ以外のたばこ(葉巻、パイプたばこなど)の包装に表示される文言について、文言の種類を減らすこと等の特例を設けることについて
・葉巻やパイプタバコの方が、紙巻きタバコよりも胃がんなどになりやすいなどということがわかっており、また、依存性もある。また、これらの危険性に関する事実はこれまであまり国民に知られされていない。にも関わらず、文言を減らすことについての理由がない。


マイルド、ライト、ロータール等の用語の表示について
・消費者が「有害性が少ないタバコ」という誤解を持つのは広告される商品名をみてのことなのであるから、WHOタバコ規制枠組み条約の主旨に基づき、「マイルド、ライト、ロータールなどについての注意を促す文言」という効果があまり期待できないような形ではなく、商品名自体を一切禁止すべきである。このような商品名を容認したままではWHOの条約の主旨に反する。


実施時期について
・予定されている実施時期はあまりに遅すぎる。遅くとも2003年度内に完全実施とする。世界に対して誠意を見せ、タバコ対策に関して枢軸国呼ばわりされている汚名を返上するべきである。JTには実施時期引き延ばしの悪意を感じる。