since 2003/7/28  last update 2005/5/18
名古屋・健康増進法第25条訴訟
このページは日本で初めて、健康増進法第25条に基づいて受動喫煙対策義務違反について提訴した、名古屋市に対する損害賠償請求事件についての資料を掲載しています。
原告の宮崎邦彦氏より資料提供を受けて、承諾の元、ここに公開させて頂きます。同様の訴訟を考えておられる方は参考にして下さい。宮崎氏に感謝します。

一審判決(2005年3月30日) ※請求は棄却されましたが、健康増進法第25条に関して重要な解釈が示されました。

判決骨子より抜粋 (★は要点の要約)
・官公庁の施設管理者に対して受動喫煙防止に必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨の義務を課した健康増進法は、上記比較検討に際しての重要な意味を持つ。本法条が努力義務を課したに過ぎず、違反者に制裁を科すことを予定していないとしても、その立法趣旨を、民事法上の責任の有無を判断する際に考慮すべき事情の一つとして取り込んではならないとする理由はない。被告の「本法条は努力義務であって、全面禁煙や完全分煙を義務付けるものではない」という主張は立法趣旨を反故にするものであり、採用できない。 ★罰則はなくとも民事上の義務責任を負う
・本法条が定められたことに照らせば、室内またはこれに準ずる環境における受動喫煙が少なくとも国民衛生の向上を阻害する(即ち施設利用者の健康上の危害を及ぼす危険性のある)ものとして社会的に認知されたことが明らかというべきであり、施設における喫煙共用物(灰皿等)が施設利用者に受動喫煙を強いる可能性があれば、その施設または管理の方法には第三者に危害を及ぼす危険性があるというべきである。 ★受動喫煙の害は明らか
・本法条には「屋外において他人のタバコの煙を吸わされること」は含まれていないが、これは屋内と屋外で煙の性質が異なるというわけではなく、屋外では空気の拡散で煙が薄くなるため、より優先度の高い室内から措置を講じようとしたものである。危害の危険性の有無という点では、(程度の別はあるが)室内でも屋外でも同じであり、屋外であっても第三者に危害を及ぼす危険性はあると評価すべきである。 ★屋外でも受動喫煙の害はある
・喫煙は、公共性や公益上の必要性のある行為と迄はいえず、一人の喫煙で多数が受動喫煙に遭うことを考えれば、受動喫煙防止のためには、喫煙場所を十分密閉されて空気が漏れない閉鎖空間に限る、通らざるをえない場所に灰皿等を置かないなどの措置が要請される。



訴状(2003年6月9日) ※「職場からタバコの害をなくす会ニュースNO.36」から承諾を得て転載
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訴状
訴状全文pdfファイル
(3,285KB)


質問書(2003年5月5日) ※「職場からタバコの害をなくす会ニュースNO.36」から承諾を得て転載
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質問書
質問書全文pdfファイル
(834KB)



関連報道

施設の完全禁煙まで毎日100円支払え 名古屋市を提訴

(2003/6/9 朝日新聞報道 他共同通信、読売新聞などでも報道)

 他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」防止に努めるよう定めた健康増進法施行後も、施設管理者の名古屋市が市の施設を全面禁煙にしなかったのは違法だとして、市立中学校の男性教諭(57)が同市を相手取り、慰謝料10万円と、市施設での完全禁煙が実現するまで毎日100円の支払いを求める訴えを9日、名古屋地裁に起こした。
 訴えによると、男性は先月1日に同法が施行されて以後の同15日から今月5日にかけて3回にわたり、市役所の「市民情報センター」を訪れた。そのたびにたばこのにおいを感じ、「受動喫煙」についての市の考えを担当者にただすなどしたが、「(煙を吸わされた人の被害への対応については)考えていない」などの回答しか得られなかったという。教諭が勤務する学校のほか、図書館や生涯学習センターには喫煙スペースが設けられたままだ、という。
 男性は、校内で教職員の喫煙が認められているため、生徒への禁煙教育が不十分になっていると指摘し、「法施行後も施設などの全面禁煙を実施せず、受動喫煙を放置した市の違法行為は明白だ」としている。
 受動喫煙の害については、「たばこの煙に含まれている化学物質により、がんや循環器系の病気にかかりやすくされている」と主張している。


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