健康ひょうご21県民運動実践活動等助成研究
(健康ひょうご21学術賞)


淡路圏域における未成年喫煙防止のための小・中・高校等の児童・生徒および学校の喫煙状況調査報告書
(速報)


2003年3月

淡路医師会
(洲本市医師会・津名郡医師会・三原郡医師会)


研究主体: 淡路医師会(洲本市医師会・津名郡医師会・三原郡医師会)
 三根 一乗 淡路医師会会長・洲本市医師会会長
 松尾 武文 兵庫県立淡路病院名誉院長・兵庫県医師会理事
 橋田 友孝 三原郡医師会会長
 明石 善久 淡路医師会乳幼児学校保健委員会委員長
 滝川 卓 洲本市医師会理事
 山岡 雅顕 洲本市休日等応急診療所/禁煙支援センター
協  賛: 洲本健康福祉事務所・津名健康福祉事務所・三原健康福祉事務所

1. 本報告書(速報)について
2. はじめに
3. 対象と方法
4. 児童生徒調査票集計結果(速報)
5. 学校環境因子調査票集計結果(速報)
6. 調査票
7. ホームページ
8. 報告書(詳報)について


1. 本報告書(速報)について

本報告書(速報)は、主に学校別の集計結果をもとにして、淡路島全体を総括したものである。今後予定している調査票個別のデータの集計・分析および報告書(詳報)の作成にはまだ時間を要するため、協力を頂いた学校に出来るだけ早く結果をお返しして、児童生徒の喫煙防止に役立てて頂くために本報告書(速報)をまとめることとした。健康ひょうご21県民運動実践活動等助成研究(健康ひょうご21学術賞)についても本報告書(速報)をもって成果とする。ただし、本報告書(速報)は、学校別の集計結果をもとにしているため、次のような留意点がある。
・喫煙していないのに入手先を回答したり、やめる価格を回答したりしているなどの矛盾回答を除外していない(矛盾回答が多い場合などは本速報には入れていない 例:タバコ価格の項目)
・学校によっては、調査の際の「調査要領」で示した以外の方法、すなわち、口頭・挙手で調査した学校や記名調査を行った学校(この場合は集計後に学校側で廃棄されて返送はされていない)があり、個人票が回収できない学校の中には、一部、そのような方法で調査が実施された学校があることがわかった。そのため、本速報では、念のため、一部でも個人票が回収できなかった学校については除外して集計した。学校環境因子調査票は、回収できたものすべてについて集計した。報告書(詳報)では無記名の個人調査票が回収できたものすべてについて集計・分析を実施するので、今回の速報の結果とは若干異なる可能性がある。


2. はじめに

喫煙は、がん、循環器疾患をはじめとする疾病や死亡の最大で単一の原因となっている。しかも、禁煙や適切な分煙対策により避けることができる疾病リスクである。また、ひょうご健康づくり県民行動指標の中でも、歯の健康・循環器病の予防・がんの予防の対策としても重要視されている。
喫煙対策としては、防煙、分煙、禁煙の3つの対策があるが、成人後に喫煙を開始した場合に比べ、喫煙開始年齢が若いほどがんや心臓病のリスクが高く、かつ、依存性が強くなることや、さらに喫煙と知能低下の関連も最近では示唆されている。また、妊婦喫煙を防止するためにも、未成年者の喫煙防止のためのあらゆる手立てを講じることが重要である。
淡路島内の過去の未成年者喫煙調査は少ないが、それらの結果によると、中学生の月喫煙率が、男子9.9%女子2.3%(津名郡、平成11年)、男子5.3%女子3.3%(洲本市、平成13年)となっており、たばこの入手先としては屋外や屋内の自販機や家のたばこなどが多い。未成年者がたばこを入手する現場もよく目撃されており、洲本市の中学生への調査では、6割の生徒が「未成年者がタバコを入手する現場を見たことがある」と回答しており、入手先としては屋外自販機69.4%、人にもらっていた28.6%、屋内自販機19.0%、たばこ店19.0%、コンビニ等の店18.4%などとなっている。また、学校での防煙教育実施率は、平成13年6月の洲本市健康福祉事務所の調査によると、小学校54%、中学校83%と、特に小学校で低くなっている。
平成9年の洲本市保健計画では、20歳代女性喫煙率が13.9%であったのを、10年で7%以下にするという目標をたてたが、平成13年現在の洲本市調査による妊婦喫煙率は24.4%(最終月経時。妊娠届出時喫煙率は7.5%)と、若年女性の喫煙率が急増しており、今後、乳幼児突然死症候群など関連疾患の増加が非常に懸念される。未成年者の喫煙の増加が妊婦喫煙の増加にもつながっていることから、未成年の喫煙をなくすための対策を徹底して行う必要がある。そのために、すべての学校での防煙教育や、未成年者がたばこを入手できない環境作り、未成年者の周りでたばこを吸わない環境作りを進める必要がある。
兵庫県保健医療計画・淡路圏域推進方策(アクションプラン)の中の未成年喫煙対策においても、2010年を目標年度として、「未成年喫煙ゼロ」「防煙教育実施率100%」「たばこ自動販売機・コンビニ・たばこ店等からの未成年たばこ入手率ゼロ」「学校敷地内禁煙」などが掲げられている。
これらを実現させるための基礎調査として、未成年喫煙状況と学校の喫煙状況を把握するため、淡路島内の全学校での調査を、淡路医師会が主体となり、各校、各市町教育委員会、健康福祉事務所等の協力のもとで実施した。



3. 対象と方法

@ 対象

対象は、淡路島内の公立・私立を含めたすべての小・中・高校および専門校、合計90校とした全数調査である。(小学校57校、中学校20校、高校9校、定時制高校1校、専門学校3校、計90校、対象児童生徒数約1万9千人)。定時制高校と専門学校の在校生は、未成年者だけではなく15歳〜30歳程度までの年齢分布があるが、小中高校に続く年代の喫煙動向を知る上で有用であるので、年齢に関わらずすべての在校生を対象とした。


A 調査内容

調査内容は、全国調査との比較のため、健康日本21の基準値としても採用されている国立公衆衛生院による2000年度実施の全国調査の調査票を基本として、これに、喫煙防止教育の有効性をみるための項目、タバコ価格が未成年喫煙に与える影響やタバコの警告表示の有効性を検討するための項目を付け加えた。また、調査票は5種類(小学校1・2・3年生用、小学校4・5・6年生用、中学生用、高校生用、その他学校用)に分けて、小学校1・2・3年生用では、小学1年生が読める漢字で字を大きく読み仮名をつけて、質問項目も最小限の項目にしてA4の1枚に収めるなど、調査対象者層に合わせた工夫をした。

B 調査方法

2002年12月に各学校長、各市町教育長宛に依頼文を送付し、2003年1月23〜30日に対象全校に調査票一式を発送した。調査票は児童生徒による無記名・自己記入式とし、プライバシーが守られ、正確な調査ができるように「調査の際は、先生は席を回ったり覗き込むなどは避けて下さい」等の留意点を記した調査要領を添付した。また、同時に「学校環境因子調査票」による調査も実施した。各学校で調査結果を有効に利用頂くためと集計速報を早く出すために、次の3つの方法いずれかでの集計・返送をお願いした。

方法1  同封した集計表に調査結果を転記頂き、学校別集計結果に集計結果を記入の上、集計表及び集計結果、学校環境因子調査票を返送頂く。この場合は転記された集計表で個別の結果が確認できるため、児童・生徒用の調査用紙の返送は不要とした。自校のデータは返送前に予めコピーを取り保管・ご活用下さるようお願いした。
方法2 インターネットとExcel2000が利用できる場合は、淡路島全校一斉喫煙状況調査用のインターネットホームページから集計用のExcel2000形式のファイルをダウンロードして入力頂き(入力すれば自動集計されるようにあらかじめ関数を入れておいた)、メールでファイルを添付送信頂いた。この場合は、学校環境因子調査票のみ返送頂いた。
方法3 上記のいずれの方法の集計も難しい場合は、集計せずに、児童・生徒用の調査用紙すべてと、学校環境因子調査票を返送頂いた。

調査は2月21日まで、回収は2月28日までとしたが、一部学校については3月末までに回収した。

C 調査回収状況

上記の集計・返送方法別の学校数は次の通りであった。

方法1 10校  方法2 18校  方法3 39校  合計67校(対象90校)

のこり23校のうち、22校は集計結果の返送はあったが、児童・生徒用の調査用紙は、「廃棄した」「口頭・挙手調査をした」などの理由で一部(6校)または全部(16校)返送がなかった。残り1校は調査に協力頂けていない(3月27日現在)。調査の正確性を期するため、本速報においては、すべての児童・生徒用の調査用紙の返送があった学校のみの結果を対象に集計した(小学校においては高学年のみ調査用紙の返送があった学校は、高学年のみ集計対象とした)。学校環境因子調査票は、回収したすべてについて集計した。詳報においては、回収が可能であった児童・生徒用の調査用紙すべてを対象に集計分析する。
回収数・回収率は次の通りである


回収数と回収率

対象学校数[児童生徒数] 児童・生徒の調査票(すべてのデータが入力された集計表またはExcelシートでの回収数も含む)※個別のデータが分析可能なもの 集計結果だけの回収も含めた場合※個別のデータが分析できないものも含まれる 学校環境因子調査票
小学校 57[8,919] 低学年39( 68%)高学年43( 75%) 56( 98%) 56( 98%)
中学校 20[5,094] 18( 90%) 20(100%) 19( 95%)
高校 9[4,866] 6( 67%) 9(100%) 8( 89%)
専門校・定時制高校 4[450] 4(100%) 4(100%) 4(100%)
合計 90[19,329] 67( 74%)小学校高学年以上 71(79%) 89( 99%) 87( 97%)

( )は学校数でみた回収率を示す  低学年は1・2・3年生、高学年は4・5・6年生を指す。


調査時に添付した調査要領において、集計回収方法を複数示すなど手順の複雑さからか、児童・生徒個々のデータの回収率が低くなったものの、ほとんどの学校から調査への協力を頂いた。




4. 児童生徒調査票集計結果(速報)

@ 喫煙経験の有無

ない ある 経験率 ※参考2000年度全国調査
小学校123年 2244 168 7.0% -
小学校456年 2684 326 10.8% -
中学校 2833 589 17.2% 33.7%
高校 1598 628 28.2% 42.3%
専門校等 116 173 59.9% -

小学校低学年ですでに7%もの児童に喫煙経験がある。喫煙経験は未成年の常習喫煙の最初の入口である。

※ 本速報で用いている2000年度全国調査のデータは、平成12年度厚生科学研究費補助金厚生科学特別研究事業「未成年者の喫煙および飲酒行動に関する全国調査」研究班による「2000年度未成年者の喫煙および飲酒行動に関する全国調査(修正版)報告書」(2002年2月)に記載されている数値を用いて、本速報で行った集計方法と同様に計算し直した数値を示す(以下同様)。なお、全国調査の対象は中学校と高等学校だけであったので、小学校等のデータはない。


A 初めての喫煙経験学年・年齢 (喫煙経験者に占める割合)

小学校1年以前 小学校2年 小学校3年 小学校4年 小学校5年 小学校6年 中学校1年 中学校2年
小学校123年 39.3% 19.1% 9.8% - - - - -
小学校456年 21.0% 13.0% 15.1% 15.4% 15.4% 4.6% - -
中学校 16.0% 6.2% 8.1% 4.6% 8.4% 14.5% 16.7% 12.1%
高校 7.8% 1.6% 4.5% 3.6% 4.1% 5.7% 13.5% 20.9%
専門校等 2.6% 1.0% 3.1% 3.1% 3.7% 5.8% 8.4% 10.5%


中学校3年 高校1年または15歳 高校2年または16歳 高校3年または17歳 高卒後18歳で 高卒後19歳で 高卒後20歳で わからない その他
- - - - - - - 26.6% 5.2%
- - - - - - - 13.3% 2.2%
4.6% - - - - - - 7.5% 1.3%
18.0% 8.3% 2.3% 2.1% - - - 6.6% 1.1%
6.8% 16.2% 8.4% 7.3% 7.3% 6.3% 7.3% 0.0% 2.1%

小学校高学年の喫煙経験者のうち半数は小学3年生までに喫煙経験があり、中学生の喫煙経験者のうち、3人に1人は小学3年生までに喫煙経験がある。喫煙経験はタバコに対する抵抗をなくし、常習喫煙への入口となることから、これを防止するためには喫煙防止教育を小学校低学年から始めなくてはならないことがわかる。


B 最近30日間の喫煙日数 (実人数)

吸っていない 1か2日 3〜5日 6〜9日 10〜19日 20〜29日 毎日(30日) 合計
小学校123年 2324 63 16 4 2 0 1 2410
小学校456年 2899 78 6 5 4 1 2 2995
中学校 3260 42 16 9 17 10 26 3380
高校 1940 34 20 12 21 23 90 2140
専門校等 165 11 5 2 13 11 77 284


月喫煙者の割合
上記の結果から、健康日本21でも基準値とされている、月喫煙者(最近30日間に1日以上吸った者)の割合および毎日喫煙者の割合は以下の通りとなる。この数値を0%にすることが目標となる。

月喫煙者(人) 月喫煙率 毎日喫煙率 月喫煙率(全国) 毎日喫煙率(全国)
小学校123年 86 3.6% 0.0% - -
小学校456年 96 3.2% 0.1% - -
中学校 120 3.6% 0.8% 7.6% 1.8%
高校 200 9.3% 4.2% 21.4% 11.9%
専門校等 119 41.9% 27.1% - -




C 最近30日間の1日平均喫煙本数 (吸ったと答えた者に占める割合)

1日1本に満たない 1〜4本 5〜9本 10〜14本 15〜19本 20本以上 合計
小学校456年 65.9% 22.7% 3.4% 3.4% 3.4% 1.1% 100.0%
中学校 32.0% 25.4% 14.8% 9.0% 8.2% 10.7% 100.0%
高校 20.7% 21.7% 23.2% 12.6% 5.1% 16.7% 100.0%
専門校等 8.7% 12.2% 14.8% 20.0% 18.3% 26.1% 100.0%

0〜14本と20本以上に2つのピークがあるが、20本以上の児童・生徒は、禁断症状のためにタバコがやめられないニコチン依存症に陥っている可能性がある。

D タバコの入手経路(本人・最近30日間) (吸っていると答えた者に占める割合)
※複数回答

コンビニなど 屋外自販機 屋内自販機 たばこ屋 もらった 家のたばこ その他
小学校456年 5.2% 13.5% 6.3% 3.1% 42.7% 69.8% 30.2%
中学校 15.0% 66.7% 10.8% 8.3% 50.0% 41.7% 7.5%
高校 27.0% 70.5% 20.5% 21.5% 32.0% 17.5% 25.0%
専門校等 65.5% 73.9% 26.1% 24.4% 26.1% 11.8% 1.7%

小学生では家のタバコ、中高生は屋外自販機で入手している割合が際立っている。また、コンビニやたばこ屋といった対面販売でも相当数の未成年者が入手していることが明らかになった。

E タバコの入手経路(目撃・最近1年間)(目撃したことがあると答えた者に占める割合)
※複数回答

コンビニなど 屋外自販機 屋内自販機 たばこ屋 もらった その他
小学校456年 31.7% 59.6% 18.1% 17.4% 20.7% 22.6%
中学校 21.3% 62.4% 14.3% 8.4% 28.9% 18.0%
高校 25.8% 68.2% 16.4% 10.2% 36.0% 16.7%
専門校等 46.5% 77.9% 27.9% 22.1% 36.6% 16.3%

屋外自販機で購入しているところを目撃していることが圧倒的に多い。これはすなわち、タバコは屋外自販機で簡単に入手できることを他の児童・生徒によく知らしめていることにもなる。常に未成年者が購買しないように管理できる状態にある屋外自販機は、ほぼ皆無という洲本市内での調査もある。

F 友人の喫煙状況

友だちはいない 友だちは吸っていない 吸う友達がいる 合計
中学校 8.5% 73.7% 17.8% 100.0%
高校 9.6% 42.9% 47.5% 100.0%
専門校等 2.4% 8.3% 89.2% 100.0%

全国調査では喫煙する友人がいる子供の方が、月喫煙者率が9.5〜20倍も多くなっている。


G 現在の喫煙状況

吸ったことはない いまは吸っていない ときどき吸う いつも吸う 合計
小学校456年 89.7% 9.3% 0.8% 0.2% 100.0%
中学校 84.6% 12.7% 1.6% 1.0% 100.0%
高校 73.5% 18.2% 3.7% 4.5% 100.0%
専門校等 36.3% 25.6% 9.0% 29.1% 100.0%

「いつも吸う」と答えた割合は、月の喫煙日数が20日以上の人数割合に近い値である。

H 父母からの喫煙の勧めの経験

はい いいえ おぼえていない 合計
小学校456年 3.6% 93.3% 3.1% 100.0%
中学校 4.5% 90.9% 4.6% 100.0%
高校 8.6% 86.1% 5.3% 100.0%
専門校等 6.6% 86.2% 7.3% 100.0%

全国調査では、父母に喫煙を勧められた中学生は3.8〜4.9倍も月喫煙者が多くなる。

I 父母に喫煙を見つかった経験
→本速報のもとにしている学校別集計結果からは喫煙者経験者のみの集計ができないため本速報では割愛する

J タバコは身体に害があると思うか

害があると思わない 大したことない 害があると思う わからない 合計
小学校123年 5.7% 3.2% 86.1% 5.1% 100.0%
小学校456年 1.8% 3.4% 89.2% 5.6% 100.0%
中学校 1.7% 5.2% 90.3% 2.9% 100.0%
高校 2.5% 4.5% 90.4% 2.7% 100.0%
専門校等 2.1% 3.5% 91.6% 2.8% 100.0%

小学校低学年でタバコの害に関する意識が低い傾向がある。学校環境因子調査の項で明らかなように、小学校低学年での喫煙防止教育実施率が低いこととあわせて、早急に対策が必要である。

K 20歳の時にタバコを吸っていると思うか

絶対吸っている 多分吸っている どちらともいえない 多分吸っていない 絶対吸っていない 合計
小学校123年 5.5% 10.5% 11.6% 23.2% 49.2% 100.0%
小学校456年 4.2% 9.0% 10.9% 31.9% 44.0% 100.0%
中学校 6.2% 7.6% 13.1% 28.0% 45.1% 100.0%
高校 6.1% 7.1% 11.9% 25.8% 49.0% 100.0%
専門校等 24.5% 9.4% 12.9% 11.9% 41.4% 100.0%

この設問は、喫煙防止教育の有効性をみるための項目である。「吸っている」と答える割合を減らし、「吸っていない」と答える割合を増やすような防煙教育が望ましい。


L 友人からの喫煙の勧めを断われるか

まったくできない 少しはできる どちらともいえない かなりできる 必ずできる 合計
小学校456年 5.8% 15.3% 11.3% 20.3% 47.4% 100.0%
中学校 4.3% 11.9% 12.5% 21.9% 49.5% 100.0%
高校 6.6% 11.0% 12.4% 22.4% 47.6% 100.0%
専門校等 14.9% 15.3% 17.7% 10.4% 41.7% 100.0%

「友人からの喫煙の誘いの断わり方」は喫煙防止教育に際しての重要なキーワードである。これも喫煙防止教育の効果を見るための指標となる。

M 禁煙ステージ

やめるつもりない(無関心期) やめたいがすぐ(1か月以内)にはやめられない(関心期) すぐ(1か月以内)にやめたい(準備期) 合計
中学校 48.6% 23.8% 27.6% 100.0%
高校 43.4% 32.4% 24.2% 100.0%
専門校等 42.7% 40.0% 17.3% 100.0%

一般成人喫煙者と比べると、無関心期の割合が高く、関心期の割合が低いが、これは未成年喫煙者の場合、試し喫煙が多く、まだ依存に陥っていない児童生徒が多いためと思われる。一方、依存に陥って準備期にあってもやめられない児童生徒が少なからずいると考えられることから、このような場合には、躊躇せずに成人喫煙者と同じような禁煙支援を積極的に考慮すべきである。

N タバコの価格 (いくらになったらタバコをやめるか)
→本速報では喫煙者のみの集計ができないため割愛する。詳報で集計分析する
(学校別の集計結果では非喫煙者の回答が混入している)

O タバコの警告文 (日本と海外のタバコの警告文をみてどう思うか)

O-1 「たばこは20歳になってから」

吸わないでおこうと思う なんとも思わない むしろ吸いたくなる 合計
中学校 64.3% 30.0% 5.7% 100.0%
高校 49.8% 42.5% 7.7% 100.0%
専門校等 28.8% 58.0% 13.2% 100.0%



O-2 「未成年者の喫煙は禁じられています」

吸わないでおこうと思う なんとも思わない むしろ吸いたくなる 合計
中学校 72.0% 23.8% 4.2% 100.0%
高校 58.0% 35.2% 6.7% 100.0%
専門校等 33.1% 55.3% 11.6% 100.0%



O-3 「たばこを吸うとやめられなくなります」

吸わないでおこうと思う なんとも思わない むしろ吸いたくなる 合計
中学校 74.5% 21.8% 3.7% 100.0%
高校 63.7% 30.7% 5.6% 100.0%
専門校等 44.2% 48.7% 7.1% 100.0%



O-4 「たばこを吸うと肺癌になります」

吸わないでおこうと思う なんとも思わない むしろ吸いたくなる 合計
中学校 86.8% 11.4% 1.8% 100.0%
高校 79.9% 17.2% 2.9% 100.0%
専門校等 64.5% 32.6% 3.0% 100.0%



O-5 「たばこを吸うとしみやしわが増えて老化が10年進みます」 (速報では男女別集計は割愛します)

吸わないでおこうと思う なんとも思わない むしろ吸いたくなる 合計
中学校 86.4% 11.8% 1.8% 100.0%
高校 78.6% 18.6% 2.7% 100.0%
専門校等 65.0% 31.4% 3.6% 100.0%



O-6 「たばこを吸うと勃起不全になります」 (速報では男女別集計は割愛します)

吸わないでおこうと思う なんとも思わない むしろ吸いたくなる 合計
高校 69.5% 26.7% 3.8% 100.0%
専門校等 56.2% 40.9% 2.9% 100.0%



日本のタバコの箱や広告の警告文、また、未成年喫煙防止キャンペーンとしてよく使われている「たばこは20歳になってから」「未成年者の喫煙は禁じられています」の文言をみて、なんとも思わない児童生徒は多く、むしろ吸いたいと思うような子どもが少なからずいる。それに比べて、肺がんや美容に関する警告のような海外のタバコにみられる警告文は、未成年喫煙に対する抑止効果が大きいようである。思春期・反抗期に喫煙する未成年者の心理を考えると、「たばこは20歳になってから」「未成年者の喫煙は禁じられています」などという文言はむしろ未成年喫煙を増加させる方向に働く危険性があり、未成年喫煙を防止する目的としては逆効果となるので、結論としては、使うべきではない。タバコの警告文言、広告やキャンペーンで使用する文言等について早急に有効な内容に変えるべきである。




5. 学校環境因子調査票集計結果(速報)
(学校環境因子調査票が回収できた87校についての集計)
@ 調査対象数 

1年男 1年女 2年男 2年女 3年男 3年女 4年男 4年女 5年男 5年女 6年男 6年女 合計
小学校 694 677 676 733 672 622 759 683 753 692 815 761 8537
中学校 455 463 459 425 502 467 - - - - - - 2771
高校 823 713 811 798 789 829 - - - - - - 4763
専門校等 77 118 95 85 16 39 12 8 - - - - 450
合計 16521



A 教師の喫煙率

男性教師喫煙率 女性教師喫煙率 教師喫煙率 校長喫煙率
小学校 32.1% 0.2% 12.3% 29.6%
中学校 30.7% 0.0% 20.8% 25.0%
高校 23.0% 0.0% 16.6% 0.0%
専門校等 34.6% 5.0% 21.7% 25.0%
合計 28.6% 0.3% 15.2% 26.6%



B 喫煙防止の授業実施率(児童生徒対象)(2002年度について。以下同じ)
※以下は調査票を回収できなかった学校も含めて集計したが、実施率等の割合については、回答欄が空白または回収できなかった学校は省いてある

実施 未実施 (空白) 総計 実施率
小学校 21 31 5 57 40.4%
中学校 10 7 3 20 58.8%
高校 8 0 1 9 100.0%
専門校等 1 2 1 4 33.3%
総計 39 40 10 90 49.4%

喫煙防止教育の必要性については学習指導要領にも明記されているが、小学校での実施は半数に満たないことがわかった。今回の調査で明らかになった小学生のタバコの害に関する意識の低さを考えあわせると、なんらかの支援策が必要である。

C 喫煙防止の講演会(児童生徒対象)

実施 未実施 (空白) 総計 実施率
小学校 0 45 12 57 0.0%
中学校 3 13 4 20 18.8%
高校 2 6 1 9 25.0%
専門校等 1 2 1 4 33.3%
総計 6 65 18 90 8.5%



D 喫煙防止の講演会(保護者対象)

実施 未実施 (空白) 総計 実施率
小学校 1 45 11 57 2.2%
中学校 1 15 4 20 6.3%
高校 0 7 2 9 0.0%
専門校等 0 3 1 4 0.0%
総計 2 69 18 90 2.8%



E その他の事業

実施 未実施 (空白) 総計 実施率
小学校 6 38 13 57 13.6%
中学校 3 13 4 20 18.8%
高校 2 4 3 9 33.3%
専門校等 2 2 0 4 50.0%
総計 13 56 20 90 18.8%


その他の事業の内容
・ ポスターで知らせる
・ 6/27授業参観日(参観授業の後スポーツ大会があったので父親も多数参加した)に学校医作成の「たばこと健康」の資料プリント配布して禁煙を呼びかけた
・ 防煙ポスターを書かせて意識高めをした
・ 町内の小学校5,6年と中学生対象に薬物についてのアンケートを実施し、実態を調べ、結果を町の保健だよりにのせ保護者へ配布した。その中でタバコの害について取り上げ、配布時に学級でも話してもらえるよう担任に依頼した。
・ 身体計測時に各学年で指導
・ 喫煙防止も含め、薬物乱用防止講座(全校生向)
・ キャラバンカーが来て全校生が見学した
・ ほけんだよりで喫煙防止について載せる。保健室の掲示板に喫煙防止のポスターを貼る
・ 全国集会で注意・指導した
・ 集会(全校集会、学年集会等)で喫煙防止教育
・ 1学年対象喫煙アンケート。定期的に校内外巡回。
・ ○○先生の授業で喫煙防止について話していただいています


F 校内喫煙の規制状況(学校としての取り決めがあるかどうか)

F-1 学校敷地内は禁煙である

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 0 1 54 2 57 0.0%
中学校 0 0 19 1 20 0.0%
高校 0 1 7 1 9 0.0%
専門校等 0 0 4 0 4 0.0%
総計 0 2 84 4 90 0.0%

淡路島内には、この調査の段階では、敷地内禁煙の学校はないことがわかった。

F-2 学校建物内は禁煙である

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 7 8 41 1 57 12.5%
中学校 0 0 19 1 20 0.0%
高校 0 2 6 1 9 0.0%
専門校等 1 0 3 0 4 25.0%
総計 8 10 69 3 90 9.2%

建物内禁煙の学校は、小学校7校、専門学校1校ある。


F-3 職員室は禁煙である

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 30 9 17 1 57 53.6%
中学校 5 2 12 1 20 26.3%
高校 3 2 3 1 9 37.5%
専門校等 2 0 2 0 4 50.0%
総計 40 13 34 3 90 46.0%

過半数の小学校は職員室は禁煙である。

F-4 喫煙室・喫煙コーナー以外では喫煙してはならない決まりがある

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 17 12 27 1 57 30.4%
中学校 11 5 3 1 20 57.9%
高校 6 0 2 1 9 75.0%
専門校等 4 0 0 0 4 100.0%
総計 38 17 32 3 90 43.7%

多数の中学校や高校は職員室が禁煙ではないが、喫煙場所を定めている場合が多い。

F-5 禁煙・喫煙タイムを設定している

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 0 2 52 3 57 0.0%
中学校 0 1 17 2 20 0.0%
高校 0 1 7 1 9 0.0%
専門校等 0 0 3 1 4 0.0%
総計 0 4 79 7 90 0.0%

禁煙・喫煙タイムは受動喫煙対策としても有効ではないが、幸い実施している学校はなかった。

F-6 児童生徒との会話中は禁煙を取り決めている

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 40 3 13 1 57 71.4%
中学校 10 3 6 1 20 52.6%
高校 0 1 6 2 9 0.0%
専門校等 3 0 0 1 4 100.0%
総計 53 7 25 5 90 62.4%

取り決めはなくても喫煙はしないという学校が多かった。

F-7 児童生徒の在室中は禁煙と取り決めている

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 32 6 17 2 57 58.2%
中学校 3 5 11 1 20 15.8%
高校 0 1 7 1 9 0.0%
専門校等 2 1 0 1 4 66.7%
総計 37 13 35 5 90 43.5%

取り決めはなくても喫煙はしないという学校が多かった。


F-8 会議中は禁煙としている

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 36 3 16 2 57 65.5%
中学校 15 2 2 1 20 78.9%
高校 7 0 1 1 9 87.5%
専門校等 2 1 0 1 4 66.7%
総計 60 6 19 5 90 70.6%



F-9 児童生徒が受動喫煙させられることがある

よくある ときにある 全くない (空白) 総計 受動喫煙あり
小学校 0 16 40 1 57 28.6%
中学校 0 10 9 1 20 52.6%
高校 0 4 4 1 9 50.0%
専門校等 0 1 3 0 4 25.0%
総計 0 31 56 3 90 35.6%

「よくある」という学校はなかったが、「ときにある」という学校が散見される。2003年5月1日から施行される健康増進法第25条の規定により、児童生徒が受動喫煙させられるような状況は、法に抵触することになる。該当する学校は留意しなければならない。

F-10 非喫煙教師が受動喫煙させられることがある

よくある ときにある 全くない (空白) 総計 受動喫煙あり
小学校 6 28 22 1 57 60.7%
中学校 2 14 3 1 20 84.2%
高校 0 7 1 1 9 87.5%
専門校等 0 1 3 0 4 25.0%
総計 8 50 29 3 90 66.7%

「よくある」と「ときにある」をあわせて過半数の学校において、非喫煙教師が受動喫煙に晒されている実態が明らかとなった。中学校や高校においては8割を超えている。
2002年2月に文部科学省は、学校環境を衛生的に維持するためのガイドラインである「学校環境衛生の基準」(平成4年6月体育局長裁定)を改訂し、各都道府県教育委員会等に通知した。これによると、空気清浄度の判定基準は、一酸化炭素は10ppm(0.001%)以下、浮遊粉じんは0.10mg/m3以下とされ、現実的には一酸化炭素と浮遊粉塵の最大の発生源である喫煙が、衛生的な学校環境を達成するための最大の阻害因子と考えられる。喫煙した部屋では、浮遊粉塵が1.0mg/m3を越えることがあり、非喫煙教師が受動喫煙をさせられているような状況においては、浮遊粉塵と一酸化炭素に関する「学校環境衛生の基準」を満たしていない可能性がある。

F-11 その他なんらかの喫煙に関する規則がある

はい そうする予定 予定はない (空白) 総計 実施率
小学校 1 6 47 3 57 1.9%
中学校 0 4 15 1 20 0.0%
高校 2 2 4 1 9 25.0%
専門校等 2 1 0 1 4 66.7%
総計 5 13 66 6 90 6.0%


その他の内容
喫煙者2名は自らの意志で児童・職員に受動喫煙とならないよう校舎外で喫煙しているので学校としての取り決めはない。
常識の範囲内なのでそんなに害はない!!
いかなる会議中も禁煙が望ましい
現在教職員(含管理職)に喫煙者はいない
職員室・会議中は禁煙
職員室では換気扇のある所でのみ喫煙すること
喫煙に関するマナー(喫煙場所以外での喫煙、喫煙コーナーの整備)が実行できない場合は自治会を通して禁煙とする(※成人の生徒のいる学校)
実際は児童生徒との会話中や在室中、会議中に喫煙することはない。教師が喫煙する際は校舎外でしている。
個人の自覚で喫煙場所以外の禁煙を実施。会話中や在室中の禁煙は個人としての常識。


G 喫煙防止教育を実施する上での課題や要望、その他自由意見

学校職員には規制できるが、保護者・来賓等には規制しにくい。
校医がとても熱心に指導して頂けるので保護者対象の講演を実施しているが、防煙教育は小学生の時にするのが最もベストだと思うので続けていきたい。
講師先生の紹介をして欲しい
喫煙する者は1人だが職務上ずっと職員室にいる。分煙を呼びかけるが聞き入れられない。
「淡路島のすべての学校の敷地内禁煙を2010年までに」という目標は遅すぎる。学校建物内は禁煙にすると条例を作成してほしいくらいである。
たばこ自販機を減らす。場所も買っている人が目立つところにする。
和歌山県のように敷地内を全面禁煙にすれば最も効果的と思う
職場の中では今は誰も吸わないが、喫煙者がいた場合、難しい点や言いにくい点が出てくるのでは?
職員の意識を変えることが課題です
喫煙者の協力がえられにくい
啓発活動、研修会、講演会等を教職員、PTA関係者とともに定期的に実施してはどうか
保護者が生徒の喫煙を認めている場合の指導は難しいです。(保護者への啓発)
○○先生の講演をお願いできるとうれしいです。
本校ではまず職員が自主的に職員室内に喫煙コーナーを設置した。このように職員が禁煙について自分たちで考え、行動することこそ喫煙防止教室の第一歩ではないかと思う。
和歌山県のようなやり方もあるのでは
教員だけでなく学校医・諸機関との連携、また保護者の強力な支援を求めたい。
専門的知識をもった講師の紹介をお願いしたい
喫煙室を設けたいが適当な場所を確保することができない。


6. 調査票
調査票は本速報においては割愛する。次のホームページを参照して頂きたい。


7. ホームページ
淡路島全校一斉喫煙状況調査用のインターネットホームページ
http://www1.sumoto.gr.jp/shinryou/kituen/school/(Yahoo!で「淡路島全校」で検索するとヒットする)に調査に使用した依頼状、調査票、集計表、速報などを掲載しているので参照頂きたい。


8. 報告書(詳報)について
児童生徒の個別のデータをもとに集計分析した報告書(詳報)は2003年秋頃作成予定である。
報告書(詳報)の作成に向けて、本速報についての忌憚なきご意見をお寄せ頂ければ幸甚である。






謝辞
調査に協力を頂いた淡路島の児童生徒の皆さん、大変面倒な集計・入力作業をして下さった教師の方々、理解協力を頂いた学校長と市町教育長の皆さんほか関係の方々に謝意を申し上げます。
また、2万枚以上の調査用紙の仕分けと発送作業に協力を頂いた洲本市休日等応急診療所のスタッフの皆さん、回収後の膨大な入力作業に協力を下さっている洲本健康保健事務所の鳥井保健師に感謝します。本当にありがとうございました。

調査集計分析責任者:山岡雅顕