2010/ 7/27 顔認証たばこ自販機、中学生「顔しかめたら買える」 (朝日新聞記事)
 福岡県久留米市で、成人しかたばこを買えないはずの顔認証自動販売機で、未成年者がたばこを購入していたことが朝日新聞の取材でわかった。たばこ自販機を管轄する財務省による と、認証ソフトの不具合が原因という。同様に、未成年が購入できる状態の自販機は全国に1千台以上あるとみられる。
 久留米市中心部。食料品店の前に設置された顔認証方式のたばこ自販機で、自転車に乗った中学生らしき少年が立ち止まり、慣れた手つきで金を入れた。朝日新聞記者が注意すると、 自販機のカメラを見つめていた少年は中学生だと認めたが、「親に頼まれただけ。この自販機は顔をしかめたら買える。だからここに来た」と説明した。
 「こんなことになるなら自動販売機を買い替えたい」。設置店の店主は嘆く。近所から「未成年が買っている」と苦情が相次いでいるという。店主は地元中学のPTA役員を務めた経験もあり「肩身が狭い」と漏らす。
 「絶対に未成年は買えない」という営業マンの言葉を信じて2008年夏、自販機を約120万円でリース契約した。だが、直後から未成年者が購入していたという。
 顔認証自販機は自販機メーカー大手が開発。全国に5239台が設置されているが、認証ソフトの不具合で未成年でも表情をつくることでカメラが誤認し、購入できるケースが報告された。財務省はソフトの更新を要請し、6月末時点でうち78%にあたる4081台でソフトの更新が終わった。メーカーは「未成年でも買えるのは本意ではない。設置店にはソフト更新をお願いするしかない」としている。
 久留米市の自販機は、店主によると、メーカーの担当者が昨年、設定を調整した。すると、53歳の店主さえも購入できなくなった。ソフトの更新はしないで設定を元に戻し、メーカーに自販機の引き取りを求めているという。
 現在の設定では未成年でも購入できるため、店主らは、少年がたばこを買うのを見つけては注意をしている。しかし、喫煙していた中学生を注意したPTAの仲間が暴力団組員とみられる男にすごまれたことがあったといい、「中学生は携帯電話で組員を呼び出し、組員の車で立ち去ったと聞いた。おいそれと注意もできない」。
 県警久留米署は、喫煙などの非行が暴力団とつながるきっかけを生み、暴力団と関係を深めかねないと懸念している。昨年摘発した少年ひったくりグループは、同市に本部を置く指定暴力団道仁会系組員から指示を受け、ひったくった金の一部は上納金になっていた。同署は今年1月から、顔認証自販機で未成年がたばこを購入していた事例も踏まえ、市内の中学校や高校で暴力団犯罪について講話したり、夜の見回りの回数を増やしたりした。その結果、6月末時点で犯罪認知件数が前年同期比約8%減、少年が犯しやすいとされる自転車盗などの街頭犯罪が前年より約17%減った。
 同署は「市内に暴力団の本部事務所があることもあり、非行少年にとって組員は身近な存在。喫煙や万引きなどの非行から暴力団に引き込まれる例もある。十分注意してほしい」と呼びかけている。

2008/12/22 大人の写真で不正購入 「顔認証」たばこ自販機に不備 (神戸新聞記事)
 たばこを買う際、顔を見せるだけで成人識別ができる「顔認証方式」の自動販売機で、未成年者が成人の顔写真をかざして不正に購入した-との報告が兵庫県警やメーカーなどに寄せられている。自販機の製造会社は、ソフトに不備があったとして改良したが、一部で更新が遅れているといい、警察や関係機関が小売店などに注意を呼び掛けている。
 顔認証自販機は、たばこ自販機の成人識別ICカード「taspo(タスポ)」に対抗。自販機に成人識別機能を設けることを義務付けた「たばこ事業法」に基づく財務省通達に伴い今年七月、財務省の認可を受けた。
 自販機製造会社「フジタカ」(京都市)によると、顔認証自販機は、入力されている数十万人分の顔のデータと比較。未成年と判別すると利用を拒み、識別できない場合は、運転免許証で補う。
 昨年十一月から同社が販売し、兵庫県内には約二百四十台を設置。しかし、認可以前に製造した機種は、ソフトが顔を平面画像としてとらえ、写真でも間違えて認証してしまうことがあるという。広報担当者は「大半の自販機は生体判定機能を加えるなど更新したが、小売店主が不在だったりして更新が遅れているケースがある。早急に対応したい」とする。
 兵庫県内では今年七月末、喫煙で補導された神戸市長田区の中学男子生徒(14)が、顔認証自販機について「大人の写真で買えた」と供述。十月にも「(宝塚市内の同自販機で)不良少年たちが購入している」との情報が宝塚署に寄せられた。
 一方、成人識別機能がない自販機も県内で百台以上あるとみられ、近畿財務局が調査している。指導に従わない場合、営業停止などの行政処分も辞さない構えだ。
 県内の喫煙による補導少年は今年一-九月末に約一万六千人で、昨年から約二千四百件減った。ただ、少年がコンビニ店で従業員を脅してたばこを購入したり、盗んだりする事件もあり、日本たばこ産業や警察、県たばこ協会などが対策を協議している。

2008/10/ 3 喫煙少年、コンビニへ たばこ「購入」の8割 タスポ導入で補導は減少 県警調査 (北國新聞記事)
 喫煙する少年の大半がコンビニエンスストアでたばこを購入し、親から「失敬」したカードを使う子もいる。六月に成人識別カード「タスポ」が導入されて以降、石川県警が補導した少年から聴き取りした初の調査で、未成年者の喫煙実態が浮かび上がった。タスポ効果で補導件数が減る一方で、規制をかいくぐる動きも目につく。店側の厳格な年齢確認や、子どもに喫煙させないという大人の責任が問われそうだ。
 県警が七、八月に補導した少年三百十一人のうち、協力を得られた二百十一人に喫煙に関する聴き取り調査を実施。たばこの入手方法では「購入」が百四十四人で全体の66・4%を占め、「(友人などからの)譲り受け」が五十二人、「(家などからの)持ち出し」が二十一人となった。
 購入先で最も多かったのは、「コンビニ」で78・5%の百十三人。ほぼ全員が「自販機でたばこを買えなくなったから」と答えた。タスポを導入しても未成年者の喫煙者をなくすことが難しい実態が判明し、日本たばこ産業(JT)金沢支店は「対面販売が少年のたばこ購入の抜け道にならないよう、関係機関と連携し、年齢確認の徹底を図る」(業務部)とする。
 コンビニ関係者によると、ほとんどの店では「年齢確認実施中」のポスターをたばこの陳列棚に明示し、原則、見た目で明らかに成人と分かる場合以外は免許証などの提示を求めている。
 ただ、年齢を判別しにくいケースは多く、特に店員が若い場合や女性だと、相手の風ぼうや人数によっては強く提示を求めにくいこともあるという。金沢市内のコンビニの女性店員は「警察の指導もあり厳しく対応したいが、直接、年齢を聞くわけにいかない」と戸惑いを見せる。
 購入先はこのほか、対面販売の「スーパー・たばこ店」が十人、「自販機」が八人と続く。「自販機」で購入した少年のうち、二人は親のタスポを無断で持ち出し使用していた実態も明るみに出た。
 県警によると、六―八月の喫煙補導件数は四百七十二人(前年同期比八十七人減)で「タスポ導入の影響が大きい」(少年課)という。一方、導入後、年齢確認をすり抜けて購入するケースが目立つことから、県警は「業界への指導を徹底するとともに、未成年者や保護者の意識向上にも努める」としている。

2008/09/26 未成年者、自販機でたばこ購入=「顔認証甘い」との見方も−福島 (時事通信記事)
 福島県喜多方市の未成年者が今夏、成人識別装置「顔認証システム」が取り付けられた自動販売機でたばこを購入したとして、福島県喜多方署が少年を補導していたことが26日までに分かった。同署が少年に事情を聴いたところ、顔認証販売機を利用したと話したという。
 問題の自販機は京都のメーカーが製造したとみられ、7月に財務省から確認を受けた。製造元は「補導された少年が自社製品を使用したかどうかは確認中」としている。財務省側は「事実とすれば、新たな改良をメーカーに求めなければならない」と話した。
 福島県たばこ販売協同組合連合会は、「自販機を使用した成人利用者によると、未成年者が顔認証販売機で購入しているところを見たという話も聞いている」と述べ、顔認証の甘さを指摘する声があった。

2008/07/25 高校生にたばこ、店主を送検=「タスポで売り上げ減」−大阪  (時事通信記事)
 高校生にたばこを販売したとして、大阪府警淀川署は25日、未成年者喫煙禁止法違反の疑いで、大阪市淀川区のたばこ店店主の男(82)を書類送検した。
 店主は「タスポ(自販機成人識別カード)導入で売り上げが月250万円から170万円に減った。売り上げを上げるために売った」と話しているという。
 「中高生にたばこを売ってくれる」とうわさが広まり、区外からも中高生らが頻繁に訪れていた。春ごろ近くの学校から相談を受け、同署が調べたところ、2時間で6人ほどの中高生に販売していた。
 調べでは、店主は3日、店を訪れた高校2年の男子生徒(16)にたばこ1箱を手渡しで販売した疑い。

2008/07/18 財務省も打つ手なし? “成人識別なし”の自販機でたばこ販売  (産経新聞記事)
 未成年の喫煙防止策として導入された成人識別たばこ自販機。しかし「未成年者がタバコを買っているのを見たことがない」として、“古い”自販機を設置する店が出てきた。この問題……意外と解決が難しいようだ。
 未成年の喫煙防止策として、成人識別装置付きたばこ自動販売機が6月から導入された大阪府内で、和泉市内のたばこ小売店が現在も識別装置の付いていない自販機を設置していることが18日、わかった。店主の男性(48)は「未成年者が買っているのを見たことがないので問題ない」と主張。すでに和泉署が、この店に撤去を要請しており、財務省も近畿財務局を通じて、近く指導に乗り出すが、現状では「強制撤去」は難しいという。
 問題の自販機は、この小売店主が約5年前に日本たばこ産業(JT)から購入した自己所有機。隣接するもう1台の自販機はリース機のため、JT側の負担で識別装置が取り付けられており、ICカード「タスポ(taspo)」がないと購入できない。
 小売店主は「未成年者が実際に買う現場を見たことがないので、識別装置を付ける必要はないと思った」。自己所有機の場合、識別装置の取り付け工賃など約12万円の改修費用は小売店側が支払わなければならないといい、「現実的にそんな大金を支払う余裕がない」とも主張している。
 ただ、近所の人などによると6月以降、未成年とみられる若者がこの自販機でたばこを購入する姿が何度も目撃されているといい、近くの主婦(70)は「うわさを聞いて隣町からもたばこを買いに来る未成年がいるようだ」と話した。
 日本たばこ協会(東京都)によると、全国の成人識別装置付きたばこ自販機は6月末時点で、全体の97%に当たる42万1103台。ただ、残り3%は、取り付けスケジュールの関係で遅れていたり、近く廃棄が決まっているものが含まれており、協会側も詳しい内訳は把握していないが、今回のような“確信犯”は極めて少ないという。
 たばこ販売は免許制のため、財務省では7月1日以降、小売店が新たに自販機でたばこ販売免許を取得する際には識別装置の取り付けを義務化した。それ以前に設置された自販機については今後、全国調査を実施し、指導に従わない場合は営業停止や小売販売業の許可を取り消す方針。ただ、即座の強制撤去などは法的に難しく、全国調査の実施時期も未定で、事実上の野放し状態は当面続く可能性が高い。

2008/07/10 高校生にたばこを販売、喫煙場所提供 名取  (河北新報記事)
 高校生にたばこを販売し、トイレで喫煙させたとして宮城県警岩沼署は10日、未成年者喫煙禁止法違反(知情販売)と青少年健全育成条例(場所提供の禁止)違反の疑いで、名取市内の酒店経営者の男(58)を書類送検した。
 調べでは、今年5月中旬、県南の高校1年の男子1人と女子2人=いずれも(15)=に、喫煙目的と知りながらたばこ計3個を販売したほか、同じ高校1年の別の女子2人=同=に喫煙場所として店内のトイレを提供した疑い。
 岩沼署によると、同店は2001年ごろから、高校生が自動販売機でたばこを買うのを黙認。成人識別カード「taspo(タスポ)」が導入された5月以降は店内で販売するようになった。トイレには吸い殻入れの空き缶も用意していたという。経営者の男は容疑を認めた上で、「生徒の買い物で成り立っていた店なので喫煙を注意したら買い物に来なくなると思った」と話しているという。

2008/07/02 未成年者喫煙禁止法違反:たばこ販売のコンビニ店長検挙 容疑で徳島東署 /徳島  (毎日新聞記事)
 未成年者にたばこを提供したとして徳島東署は1日までに、徳島市内のコンビニエンスストア店長の男性(38)を未成年者喫煙禁止法違反容疑で検挙した。同署は近く男性を同容疑で書類
 調べによると、男性は6月13日午後4時ごろ、徳島市内の女子中学生(13)が喫煙することを知りながら、たばこ1箱(320円)を販売した疑い。
 1日からは成人識別ICカード「taspo(タスポ)」の運用が、首都圏8都県と沖縄県で始まり、全都道府県での実施となった。県内では5月1日から運用が開始されたが、女子中学生は「それまで自動販売機で買っていたが、タスポになってコンビニを利用するようになった」と話しているという。

2008/06/24 顔認証型たばこ自販機 新聞や雑誌などの写真でたばこを購入できることが判明  (FNNニュース記事)
 成人識別ICカード「taspo(タスポ)」導入以来、トラブルが続く中、顔認証型たばこ自動販売機で、新聞や雑誌の掲載写真で、たばこを購入できることが判明した。開発元は、改良を進めていることを強調している。
 成人識別ICカード「taspo」の導入以来、「カードぶら下げ問題」などトラブルが続いている。
 辰巳屋高橋商店の高橋 富久次さんは「taspoになってから、7〜8割パタッと減になっちゃったもんだからね。(顔認証型については)お客さんに、こういう機械もあったのかと...。それからどんどん売り上げが伸びてきました」と話した。
 福島・郡山市内の辰巳屋高橋商店では、カードいらずの手軽さから、顔認証の自販機だけが好調で、売り上げ減にあえぐ店の救世主になっている。
 しかし、この顔認証型たばこ自動販売機は、「スーパーニュース」の安藤優子キャスターが表紙の雑誌でも認証されるなど、新聞、雑誌の掲載写真でたばこを購入することができ、「未成年の購入を防ぐ」という本来の目的を果たせていない状況となっている。
 開発元のフジタカ郡山営業所・桑野智雄所長代行は「(改良して)写真を受けつけない成人判定ソフト、こちらの方は開発済みでございますので」と、改良を進めていることを強調した。
 こうした中、24日にJT(日本たばこ産業)の株主総会が行われた。
 株主の最大の関心事は、1箱1,000円説も取りざたされている「たばこ増税論」に関することだった。
 日本たばこ産業の山田良一副社長は「わたしども、このお話につきましては、全体として財源のつじつま合わせのための、大変取りやすいところから取るという、安易な議論だというふうに思っております」と語った。
 会場の株主からは「好きな人もいるんだからね、たばこ!」との声も上がった。
 FNNの世論調査では、たばこを1箱1,000円に値上げすることについて、ほぼ半数が賛成し、反対を8.4ポイント上回った。
 また、6月からアメリカ・ニューヨークでは、全米で最も高いたばこ税が課せられている。
 6月、たばこがおよそ2ドル値上げされ、1箱およそ10ドルと、日本円で1,000円を超えたニューヨーク。
 ニューヨークの人は「値段が上がろうと、あまり影響はないわ」、「ずっとやめようかと思っていたけど、今回がいい機会」などと話した。
 JTの株主総会主席者は「(値上げは)あり得ないと思うけども...、本数減らしても吸うかな」、「ほかにもっと(税金の)無駄使いがあるわけですから、考えてもらわないとね」などと話した。

2008/06/18 「バカバカしい事ですがタスポ……店内で借りてください」――たばこ店が苦肉の策  (産経新聞記事)
 自販機の成人識別ICカード「タスポ」の導入により、神戸のたばこ店ではタスポを貸し出す“サービス”を始めた。タスポ導入で売り上げは1割以下、ただ張り紙効果は上がっていないようだ。
 「バカバカしい事ですがタスポカードがないとタバコが買えません。成人者は店内で借りて下さい」。たばこ自動販売機の成人識別ICカード「タスポ」をめぐり、神戸市中央区の小売店が、こんな張り紙を出してタスポを貸し出す“サービス”を行っている。タスポ導入で店の売り上げは1割以下になり、店主(80)は「このままでは自販機を撤去せざるをえない」としている。今のところ「張り紙の効果は上がっていない」というが、小売店は生き残りに懸命だ。
 タスポを貸し出しているのは、JR元町駅前の小売店。識別装置の運用が始まった6月1日から貸し出しを始めたという。
 同店はタスポ導入前、計2台の自販機で1日あたり5万円の売り上げがあったが、最近では2000〜5000円にまで減少。店主は「このままでは生活していけない」と、苦肉の策に出た理由を説明する。
 兵庫県警少年育成課によると、未成年でなく成人の購入目的でタスポを貸与する限り取り締まりの対象にはならないという。
 日本たばこ協会も「成人であることを確認した上で店主の前で自販機で購入するなら対面販売と同じ」としているため、同店の販売方法には問題がないとの見解だ。
 ただし、同協会によると全国の喫煙者人口約2600万人のうち、タスポ所持者はわずか2割弱。タスポが浸透していない実情が、自販機でのたばこの売り上げ減に直結している。
 タスポの貸し出しをめぐる小売店側の混乱は全国的に広まっている。佐賀県上峰町のたばこ小売店では、店頭の自販機にタスポを貸し出すためのブザーを設置。店主立ち会いで対面販売を実施。
 一方で福岡県広川町の自営業者はタスポを自販機前につり下げ、未成年者が自由にたばこが購入できるようにしたとして福岡県警がタスポの撤去を要請。業者は撤去に応じている。