2012年(平成24年)1月17日関東運輸局長申入れ
関東運輸局長申し入れ書(pdf143KB)
2006年(平成18年)4月17日国交省申入れ
国交省申し入れ書(html)  国交省申し入れ書(pdf10KB)   添付資料一覧表(pdf14KB)
2006年(平成18年)5月18日国交省回答
国交省回答(html)










2006年5月18日
国土交通省自動車交通局旅客課

タクシー車両の全面禁煙化に係る国土交通省の考え方について(回答)

 平成18年4月17日に申し入れのありました標記につきまして、下記のとおり回答いたします。



1、禁煙タクシーの導入状況につきましては、現在のところ、以下のとおりとなっており、地域によって差はあるものの、鉄道やバス等の他の公共交通機関に比べて、全国のタクシー全車両に占める禁煙車の割合は、極めて低い状況となっております。

【禁煙タクシー導入状況(平成16年度末現在)】
全タクシー車両数
禁煙タクシー車両数
禁煙車両の割合
270,703両
5,364両
2.0%

2、これは、
1)タクシーは、1名から数名の利用者がプライベートな空間を貸し切って運送を行うという輸送形態であるという特性から、タクシー事業者の側に、喫煙利用者への配慮を行うという傾向がつよいこと
2)タクシー事業者において、喫煙者が禁煙タクシーを敬遠し、利用者が減少するのではないかという不安感が高いこと
などの理由があるものと考えております。

3、一方、鉄道や乗合バス等の他の公共交通機関については、同一の車両に不特定多数の利用者が乗り合わせるため、多数の喫煙者と非喫煙者が同じ空間を共有するという運送形態であることから、タクシーと比較して、また、社会的・一般的にみても非喫煙者の受動喫煙を防止する措置を講じる必要性が極めて高いことから禁煙化が進んでいるものと考えられますが、このような鉄道や乗合バス等においても、法令による禁煙化の規制・義務付けはなく、あくまで各事業者の判断によって行われているものと承知しております。

4、タクシー業界においても、最近では、
1)大分市において業界の自主的な取り組みにより、本年4月から(社)大分市タクシー協会加盟の全事業者が全車両の禁煙化を実施
2)全国各地で病院のタクシーのりばへの入構を禁煙車限定とする動きが広がる中、それに伴い一部地域でタクシー事業者の禁煙タクシーの導入が加速といった動きが見受けられる状況となってきております。
 こうしたことから、当方としては、禁煙タクシーの導入については、基本的にタクシー事業者の自主的な取り組みによって行われるべきものと考えており、ご要望にあるような「『全面禁煙』に向けた罰則付き法令の整備」を行うことは、適当でないと考えております。

5、他方、国土交通省としては、利用者利便の増進の観点から、利用者のニーズに即したサービスが提供されることは望ましいと考えており、禁煙タクシーについても、それを希望する利用者が選択しやすい環境整備を行うことは重要であると考えております。このため、これまでも標準運送約款の一部改正によりタクシー事業者が禁煙タクシーを導入しやすくする措置を講じてきているところでありますが、現在審議中の交通政策審議会における「タクシーサービスの将来ビジョン小委員会」において「利用者が禁煙タクシーを利用できる環境を整備すべき」との意見が出されていること等も踏まえ、今後、上記のような業界及び事業者の自主的な取り組み事例や取り組み状況を積極的に公表・紹介していくほか、関係行政機関と連携する等により、禁煙タクシーの導入促進に向けた措置が考えられないか、検討を行って参りたいと考えております。

6.なお、タクシー乗務員の受動喫煙の問題に関しましては、被雇用者である従業員の良好な職場環境を整備することは雇用主に求められる責務であるという観点から、健康増進法に基づき、タクシー事業者が問題の改善に取り組んでいくべきものと考えております。








2006年4月17日
国土交通大臣 北側 一雄様
タクシー全面禁煙をめざす会
代表 安井 幸一

タクシーの全面禁煙について(申し入れ)

 標記について、業界の自主的対応を待つのではなく、国が主体的に対処するものとし、「全面禁煙」に向けた罰則付き法令の整備を図るよう、以下の理由により申し入れます。
 なお、この件につきまして、国土交通省としての考え方を、来る5月18日までにご回答くださるようお願いいたします。



1. 東京地方裁判所は、タクシー禁煙化裁判(平成16年(ワ)16632号)の判決(平成17年12月20日)の中で以下の通り指摘し、タクシー行政の転換を促していること。
(1) 副流煙の健康被害を明確に認め、特に、タクシー車内における副流煙がタクシー乗務員の健康に及ぼす影響は看過しがたいと述べ、その深刻性を指摘している。
(2) タクシー事業者は、タクシー乗務員に対し、受動喫煙の危険性から生命・健康を保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っており、この義務を尽くすためには、禁煙タクシーの導入と普及が望ましいとしている。
(3) 他の公共交通機関に比べ、タクシーの禁煙化が著しく遅れている現状を直視し、タクシー事業者の自主性に任せるのではなく、国の適切な対応を求めている。
(4) タクシー利用者の立場からも、タクシーの全面禁煙化が望ましいとしている。

2. たばこ規制枠組み条約が発効し、政府の姿勢が国際的にも問われていること。

3. 健康増進法第25条においては「多数の人の集まる施設」における受動喫煙防止対策を施設管理者に求めているが、タクシーも「施設」にあたると解されていること、及び車内においては「分煙」の措置を講じることが物理的にも不可能であること、並びに同法施行後3年を経過しようとしており、喫煙者の公共の場所における禁煙への理解と協力が相当程度進展している状況にあると考えられること。

以 上

※ ご参考のため、別紙資料を添付いたします。

【連絡先】
〒102-0072
東京都千代田区飯田橋2-1-4 九段セントラルビル203
Tel 03-3222-6781 Fax 03-3222-6780
(担当・渡辺 文学)