タクシー内の喫煙 影響は
(2004年5月31日放映 NHKニュース10特集)

 タクシー車内の喫煙がタクシー乗務員に与える影響について、東京大学大学院 中田ゆり氏の共同研究グループの調査をレポートした。禁煙タクシー国内第1号の安井氏のタクシーが実験台になった。
 窓を閉め切って乗客が喫煙した場合、車内の粉塵濃度は4分後に法定基準(0.15mg/m^3)の12倍(1.80mg/m^3)にはね上がり、1時間以上ももとに戻らなかった。
 窓を5cm開けて吸った場合でも、粉塵濃度は法定基準の9倍に上昇し、30分間、もとに戻らなかった。
 中田氏の話では、喫煙者が2人だと法定基準の24倍、3人が喫煙すると31.6倍になり,、さらに、窓を開けない状態では49.6倍を記録したとのこと。
 また、この際、運転していた安井氏の呼気から、運転前には検出されなかった一酸化炭素が検出され、受動喫煙によってタバコの有害物質が乗務員の体に取り込まれていることが明らかとなった。
 2002年の1年間の個人タクシー運転手の死因の第1位は肺がんで12%を占めていたが、これは、一般の人の2倍の率であった(個人タクシー協会の調査)。タクシー車内で受動喫煙を浴びていたためと考えられる。



乗務員の命を守るためには、タクシーは全面禁煙にするしか方法はなく、また、車内で喫煙した後、1時間以上有害物質が車内に残り、あとに利用した乗客がその被害を受けることから、禁煙ではないタクシーは健康増進法第25条に違反することが証明された。