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半減目標は実は賛成多数だった
- 健康日本21決定の真実 -

〜公表された議事録の検討と委員へのアンケートから〜

- 全国自治体の喫煙対策担当者と20世紀にタバコで亡くなった1億の人々、そして21世紀にタバコで命を奪われようとしている10億の命を救うために、この研究成果を捧げる -
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(サーバー移行により2002/11/5〜再カウント開始)
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調査発表:兵庫県喫煙問題研究会 (このホームページはリンクフリーです)
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2002年2月23・24日 第11回日本禁煙推進医師歯科医師連盟学術総会(会場:国立公衆衛生院)および同10月23・24・25日第61回日本公衆衛生学会(会場:大宮ソニックシティ)にて発表

 健康日本21の喫煙率半減目標が、なぜ、委員の圧倒的多数の反対によって撤回されたのか。地方において「数値目標は国で撤回されたのだからたばこが害ある商品として断じられることのないこと」などと喫煙対策に対する圧力に苦しめられている者たちにとっては、このことは、この2年間の大きな疑問であった。今、地方においては数値目標はおろか、「タバコ」の項目さえもない自治体(姫路市、いわき市、大牟田市)が出現する事態となっている(2002年2月現在)。(健康日本21HP内、健康日本21地方計画の策定状況を参照
 しかし、平成13年末になってついに公表され、入手した健康日本21検討会議事録と半減賛否リストをみると、実はあの時採決されたのは、半減に関する賛否ではなかったことが判明した。しかも、議事録を読むと半減目標に反対する委員は実は多くなかったのではないかという印象を強く持った。
 そこで、兵庫県喫煙問題研究会から、当時の全委員に、賛否を問われた1案対3案に加えて、半減目標を入れた1+3案についての意見を聞くアンケートを実施した。
 議事録の検討とアンケートの回答を踏まえて、あの健康日本21の決定に関わる真実を、今、ここに明らかにする。

(発表の内容は、発表ポスターをご覧下さい)

全委員45名に実施した郵送アンケート (実施・回収 2002年1月29日〜2月19日)
 (回収数20通 未回収25通)

主旨文 回答用紙
委員名簿(健康日本21HP内)
2002/2/23-24 第11回日本禁煙推進医師歯科医師連盟学術総会発表ポスター
(パワーポイント版の方が正確です)
パワーポイント版(174KB) HTML版

パワーポイントをお持ちでない方はこちらから無料のビューワーをダウンロードして下さい
健康日本21計画策定検討会および健康日本21企画検討会全委員の賛否リストおよび半減に関する議事録発言抜粋とアンケート回答・賛否結果 Excel2000版(82KB) HTML版
厚生省原案と1案・3案 まとめと考察
他サイトリンク 健康日本21ホームページ
半減の根拠(サイト内html)
半減根拠の論文1(pdf)
半減根拠の論文2(pdf)
半減根拠の論文3(html)
最大の半減根拠(サイト内html)
半減賛成15万署名の記事(pdf)
指標の意義(健康日本21HPより)

健康日本21タバコ分科会原案(pdf)
(議事録は厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室から公表されており、当方で入手した議事録を公表しても良いとのことですが、ここには現在掲載しておりません。厚生労働省あるいは健康日本21のホームページでの掲載公表を希望します。)



厚生省原案
 @未成年の喫煙をなくす
 A成人喫煙率を全体として半減させる
 B国民一人当たりのたばこ消費量を半減させる

検討会で提示された1案と3案 
(だれも支持しなかった2案は省略)

 1案
 @未成年の喫煙をなくす
 A成人喫煙率を全体として半減

 3案
 @喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識(別表)を普及する
 A未成年の喫煙をなくす
 B公共の場や職場での分煙を徹底する。また、質の高い分煙についての
  知識を普及する。
 C禁煙、節煙を希望する者に対する禁煙支援プログラムを全ての市町村で
  受けられるようにする。

まとめと考察

● 会議への圧力介入が示唆される回答・発言があった

● 半減については明らかに賛成多数であった策定検討会の結果を、企画検討会において「策定検討会は反対多数だった」と報告した当時の厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課長 佐なぎ 進氏の作為行為が判明した (*「なぎ」は木へんに夘)

● 明らかに半減に賛成と会議で発言していたのに反対(松谷委員)あるいは賛否不明(森本委員)に集計された委員がいた

 欠席者からの回答は全て半減反対であり、説明が妥当なものだったか疑問である
 
以上の、事務局による、国民の命に関わる重大な政策決定の場での作為行為を糾弾する


● 半減の根拠があれば賛成するとした委員もいたが、半減根拠の論文は策定検討会山口委員自身が当時すでに書いていた (会議中になぜ言わなかったのかは不明である)
「日本における肺がん死亡の増加は著しい中、肺がん死を低減させるためには喫煙率を半減する必要がある」
( Naohito YAMAGUTI .Jpn. J. Cancer Res 83,251-257, 1992)


 半減目標削除の根拠とされた半減反対署名5万に対して、当時、15万の半減賛成署名が集まっていたことからも、半減を削除する理由はすでにない
(半減賛成の13万5千の署名は2000年2月24日篠崎英夫保健医療局長に提出された。その後も署名は増えて15万になった。)

最後に

● 2005年健康日本21中間評価での成人喫煙率およびタバコ消費量半減目標復活と、健康増進法での喫煙対策の最重点化、および作為行為防止のため政策形成過程の透明化を求める
(年間タバコ販売本数3000億本のうち、未成年者が600億本消費していると言われており、「タバコ消費量半減」目標は、未成年喫煙防止効果も含んだ、総合的な喫煙対策の実効性をみるための有用な指標である)

● 地方自治体はしっかりした数値目標を掲げ、最重要項目として実効性のある喫煙対策に取り組むべきである。そうでなければ、地方自治体責任者や保健担当者も、薬害エイズと同様に、喫煙対策に取り組まずにタバコによる疾病や死を未然に防げなかった、不作為の罪を問われることを覚悟すべきである。すでに国を被告とした第1次のタバコ病裁判が進行中である。その際比較されるのは平均ではなく、最も喫煙対策が進んだところであることに留意すべきである。



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